DAI-SONのアレやコレやソレ

創作ライトノベル、「ハーミット」「愚者の弾丸」「ハーミット2」を掲載。更新停止中です。

2015-08-01から1ヶ月間の記事一覧

「愚者の弾丸」 EX.24 さよなら傷だらけの匣よ

ブリンク「このまま発ってしまわれるのですね。」ブリンクはカップに白湯を注ぎながら言う。番長「おい、別に紅茶が飲めないわけじゃない。」そう言いつつも、番長はそのまま受け取る。水面に映る天井。隅は爆破によって多少綻んでいる。いや、目の前の壁だ…

「愚者の弾丸」 EX.23 傍観者になってはいけない

マリンは、泣き明かしては眠りを繰り返し、ずっと宿の一室に閉じこもっていた。――――デジャヴュ。彼女は身を持って知っていた。偽りの平和なんていつかは壊れてしまうのだと。街はひどい有様だ。チヨが配り歩いたり、飛ばしたりした宝石のせいで、建物は歯抜…

「愚者の弾丸」 EX.22 事実は芸術よりも奇なり

番長「平行世界…。可能性の存在。」 そう。目の前にいる藤原千代は、「ある一時まで同じだった」だけの別人。 パラレルワールド、とも呼ばれる違った未来から来た藤原千代なのだ。 「非常に人に知覚されにくい」という、「隠者の才能」を持っているところま…

「愚者の弾丸」 EX.21 延、トリック・アートの世界

マリンは、生前はいつも偽りの平和を眼下に広げていた。 だが、別にそれが嫌いなわけではない。 むしろ、誰かを守るための優しい嘘なら、このままでもいい、と思った。 今のこの町も、そんなハリボテ固めの平和を乱される、かつての風景と同じものだ。 昔は…

「愚者の弾丸」 EX.20 続、トリック・アートの世界

双銃の獲物となった少女に似た形なき貌。しかしながら、目的を少し履き違えているのではないかと思った。 後にマリンは言った。無差別に似顔絵を送りつけるなら余りにも消極的で、マリン個人を狙っているのなら、こんな回りくどいことをして殺すよりも無理矢…

「愚者の弾丸」 EX.19 トリック・アートの世界

その後も、この街の人気のあるところを狙って散策し、日は沈んでいった。大通りに面する、赤と白のボーダーという派手な外壁塗装をした宿に泊まってゆくことに決めた。この街は、夜でも活気を失わない・・・ように見える。派手な照明や装飾が賑やかに夜の家々を…