DAI-SONのアレやコレやソレ

創作ライトノベル、「ハーミット」「愚者の弾丸」「ハーミット2」を掲載。更新停止中です。

「ハーミット」 ACT.0 プロローグ

2018年 7月3日(火曜日)・・・
時は平成、消費税は10パーセントが当たり前。
機械の進歩は限界を迎えつつあり、誰もが宇宙に希望を抱いていた。
それぞれがそれぞれに道を見出していたこの時代。
彼女はありふれた、そして深刻な問題に直面していた。

???「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

今年の春、晴れて花ざかりのJKになった少女、藤原千代は人生の大半を地面か無機物とのにらめっこに費やしていた。

千代「・・・・・・・・・・・・ふぅ。」

詰まっているものを出すような短いため息をついた。
だが彼女に言葉はない。
彼女は入学してから・・・いや、中学生の頃からずっと友達がいないのだ。
小学校の頃はいたような気がしないでもないのだが、いつの間にか人間関係からは疎遠になったいったのだ。

家に帰るなり部屋にひきこもり、お気に入りのウサちゃんクッションをモフモフしながら、PCでインターネットに明け暮れるのである。
珍しい型の人間ではないが、なぜだか分からないが非常に影が薄く、周りに気づいてもらえない。
そんな気がする。
セーラー服にマントという、へんぴで目立つ格好をしているにもかかわらず、目線や会話がこちらに向かないのだった。

なので彼女は趣味で生きている部分が強い。
不思議なことを探求するのが好きで、現象・オカルト・都市伝説と節操がない。
落ちているものなんかも気になってしまうものだ。
例えば――――――――

通学路に落ちている

カードとか。

彼女はそれに当然目を奪われる。
その様子はさながら、砂糖菓子を見つけた蟻のようである。
そのカードは裏面のようだが、子供たちが集めているようなものでもなく、かと言ってトランプのような模様でも無いようだ。
点対称な模様が描かれた黒いカード。
つい、ちょっと、ほんのちょっとの好奇心で表側が気になってしまう。
周りを見渡すわけでもなく、迷いなくそのカードに手を伸ばす。
指の先で手を触れた瞬間―――
ばっ、と液状に変わり、手を伝い彼女の体内へと染み込んでいった。
彼女はワクワクとも恐怖心ともとれぬ不可思議な感情に取り憑かれた。
その傍ら、一枚の紙が落ちていた。
きっと今のに驚いてプリントでも落としたのだろうとカバンに詰め込んで帰宅した。