摩利華「まさか、集団で襲いかかってくる非道な方がいらっしゃるなんて・・・。」枷檻「そうか?私たちだって大した変わりねぇだろ。支援の形が違うだけさ。」千代「安易に人を殺さないところを見ると、彼らも人間なんだなって思うよ・・・。同情はしかねるけど。」…
腕男に才能を引き出された犬は、異能力を感じ取り住宅街の外れの廃ビル辺りに来ていた。ここは地主が何十年と放置していて、ゴロツキどもの溜まり場と化していた。ゴロツキA「おい、またハーブの店が取り締まられたってよ。」ゴロツキB「へへっ、いい気味だ…
昼過ぎには潮の自宅に到着していた。マンションの一室に住んでいるようだ。千代「潮ちゃん、起きられる?」潮「う・・・ん・・・なんだ、もう着いたのか。・・・っつうか真夏に分厚いタイツなんて履いてんじゃねぇよ、汗クセぇぞ。」摩利華「そこがいいんじゃない!!」…
枷檻「おお、すっげぇなコレ!!どんどん入るぞ!!」枷檻は千代の広げている黒い布の中にいるクロの空間に次々と墨汁瓶を詰め込む。クロ「おい、そんなに一気に入れるのはやめんか!!空間を通している時にも生命力は使われているのだぞ!!」枷檻「わりぃわりぃ。…
大柄な男は、ドラッグストアで包帯やら脱脂綿やらを買って応急処置をした。店員には怪しい目で見られたが、工事現場で事故に巻き込まれてしまって、と適当にごまかした。出血の割に傷は浅く、なんとか痛みを堪えれば普通に歩けるようにはなっていた。あまり…
腕男「俺は”星(スター)”だァァァァ!!光り輝くスターだァァァァ!!」腕には爽やかな男性が握られている。爽やかな男性はグニャグニャにひん曲がっているが、潰れたり死んだりはしていない。能力によって生きながらえているのだろうが、身動きがとれないのには…
8月8日(木曜日)。雨は上がったものの、曇り空がどんよりと湿った空気を閉じ込める。そんな薄暗い町の路地裏、大柄な男は息を切らしながら出血している腕を押さえている。ふくらはぎからも血が流れ、水たまりとコケを徐々に赤くしていた。目の前には幼い女の…
男の腕から抜けた枷檻を抱き寄せる千代。千代「大丈夫??生きてる??枷檻ちゃんッ!!」涙目になって枷檻を揺さぶる。摩利華「大丈夫ですわ。睡眠薬か何かで意識が朦朧としているだけですわ。呼吸はありますし、うっすらとこちらに目線を向けていますわ。」枷檻…
千代「はぁ・・・」通話を終えた千代は深い溜息をついた。しばらく親から連絡がないと思ったのでこちらから連絡したのだ。心配ばかりかけて申し訳ないという旨を伝えようとしたのだが、父親「いいの、いいの。お金持ちにはお世話になりなさい?あの、焼肉の時に…
8月6日(火曜日)。朝方にすっかり済ませたようで、千代はすっきりしていた。千代「よかった~。今回は長引かなくて。」二度寝しようとベッドに戻る千代。しかし、摩利華に布団を剥がれる。摩利華「もう寝てはダメですわ!!ちゃんと学生として課題をこなさなく…
亜万宮邸に戻った一行は敵の能力について考えていた。結局のところ、相手の限定条件とはなんだったのだろうか?という素朴な疑問があった。それが解からなければまたしても簡単に術中に掛かってしまう可能性が出てきてしまう。もちろん四六時中気をつけられる…
熱く頬を塗る橙色を帯びる店内。もりもりとアイスを食べる千代を白い目で見つつ、憩いのひとときを終えた。摩利華「もう・・・こんなに食べてはダイエットになりませんわ。明日から持っとビシバシ指導してもらうのよ。ぱにゃにゃんだー。」千代「えへへ。ぱにゃ…
摩利華の部屋には千代と摩利華のふたりがいた。横顔には夕日があたり熱を帯びている。摩利華「難しいですわ・・・?考えている間に落ちてしまいますわ・・・。」彼女らは暇つぶしに落下物のパズルゲームをやっていた。こういったものは断然千代の方が強く、アグレッ…
枷檻の父親「すまないが協力はできない・・・。これは私が抱える人間たちが多すぎるが故なんだ。本当に申し訳ないが理解してくれ。」摩利華の家の人々ように協力を仰ごうと考えたりはしたのだが、小鳥遊財閥は邸内のみならず会社やグループが存在しており、これ…
8月3日(金曜日)大柄な男「なかなかの強敵であった。」男は全身にまとった能力を解く。目の前にはゴスロリ姿の華奢な少女が横たわっている。彼女は能力者”だった”人間だ。つまるところ、もう負けているということだ。大柄な男「危ないところだった。こうも毎…
DDL「ダンナァ!!ヤッタゼ!!イマノアノオンナハフヌケノヌケガラニナッテボーゼントタチツクシテルゼ。トドメヲサシニイクナライマダゼ?」男のもとへ戻ってDDLは自慢げに結果を報告した。しかし、男は不満そうな顔でDDLの顎をぐいと持ち上げる。DDL「ンニニニ…
千代「摩利華ちゃん・・・。」摩利華「なんですの~?」千代「近いんだけど・・・。」摩利華「いいじゃない・・・やっと二人きりになれたのよ~。」千代「いや、だからといってずっと絡み付いてくるのはどうかと思うよ・・・。」ベッドに入ってからというものの、摩利華は…
長い長いトンネルを抜けた新幹線は一日ぶりに日の光を浴びる。仄暗い夜明けに撒き散らされる熱。車両はすいていた。夏休みシーズンが始まっていたが、今の時代は飛行機の方が人気だ。上空に行っても電波が絡まなくなってからというもの、利便性を考えて海の…
番長『向かうのは夕方ころになる。』LINEにメッセージを返された。枷檻「アイツいっつも夕方にしか来ねぇよな。」三人は長いテーブルの片隅に腰掛け、料理を待っていた。摩利華「彼女にも彼女自身の都合があるのでしょう。仕方ありませんわ。」千代「でも、…
夜九時前にはそれぞれがそれぞれの家に帰り、千代はベッドについた。千代「食べてすぐ寝るとまた太っちゃうなぁ・・・。」クロ「今は無理をして体力の蓄えがなくなってしまう方が、よほど恐ろしい。」千代「わかってるよ。みんなの応援を、無駄にはしない。」 …
7月14日(土曜日)。千代は昨晩摩利華の使用人によって送迎されて帰宅した。精神面ではほぼ正常そのものまで回復したが、肉体には過度のストレスによる疲労が残っていた。まぁ、ストレスもそうなのだが、実を言うと単純に生命力が足りない状態にあるのも事実で…
亜万宮低に着く頃には泣き止んだが、まぶたは赤くしっとりとしていた。門にはSPらしきいかついスーツの男が二人立っている。いかつい男A「おい、そこの。屋敷になんの用だ。」枷檻「私は摩利華とは古い知り合いだからよ、会いに来てやったんだよ。」いかつい…
7月13日(金曜日)、摩利華は休んだ。というか、休ませた。あんなボロボロの顔で学校に出られては停学もヒンシュクもくらってしまう。 バトルとは言え、気絶するほど殴り続けたので、昨日気絶から覚醒したあと摩利華にはたっぷり謝り倒した。摩利華「そう・・・普…
流石に5時限目、6時限目と教室でドンパチやるなどという暴挙に出ることはなく、緊張を帯びた精神のまま、授業をやり過ごした。問題はこのあとだ。真っ先に帰路に着こうとせかせかと帰る準備を済ませる。枷檻の担任の帰りの会はさっぱりしていて短いので半ば…
千代「我ながら本当にめんどくさい事に手を突っ込んでしまった。」軽率な行動でこんな戦いに足を踏み入れてしまい、しかも最初に「能力者バトルかぁ」と不覚にもワクワクしてしまった自分を悔いていた。しかしながら、ここで戦いを辞めるわけにもいけなくな…
7月9日(月曜日)・・・。昨晩は警告通り十分な睡眠をとり、久しぶりの健やかな目覚めである。クロ「今日も学校という場所に行くのか?」千代「うん。そうだよ。」着替えながら会話をする。もっともパジャマなんていう面倒なものは持っておらず、下着にシャツを羽…
7月8日(日曜日)。部活動に所属していない千代にとっては休日である。しかしながら、今という今ばかりはのんきにしてもいられないのである。二度も公然で戦いをしてしまったために、インターネットによからぬ情報が拡散してしまっているのである。幸いにもク…
千代「ヴォエ~~~~~・・・」腹部を思い切り殴られたために、強烈な吐き気に耐えかねて排水口に吐き出す。クロ「大丈夫か?」千代「大丈夫に見える・・・?」その横、のびていた女生徒が覚醒する。女生徒は手をグッと握る。数秒間見つめていたが、すぐに拳を解く…
その戦闘をひとしきり眺めている人物がいた。???「へぇ・・・やっぱりあいつ・・・能力者だったんだ・・・。」千代はそんなことつゆも知らないままに、疲れきった体を押して帰るのであった。暴力事件で停学になるなんて問題外なので、なりふり構っていられないのだ。 …
7月4日(水曜日)・・・何事もなかったかのように次の日の朝を迎える。ジムでハジけすぎたのか、少し疲れが残っている。普段からちょくちょく行ったりはしているので、しっかりケアをして筋肉痛は回避している。 昨日のことは妄想だったのかもしれない・・・?千代「…