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DAI-SONのアレやコレやソレ

創作ライトノベル、「ハーミット」「愚者の弾丸」を掲載。「ハーミット2」連載中。不定期更新です。

「ハーミット」 ACT.1 隠者

帰宅して、いつものようにウサちゃんクッションを傍らに引き寄せる。
習慣からか、宿題がなかったかとプリントを探る。
そうすると、さっきのプリントが出てきた。
うっかり自分のものかと思って拾ったが、見たこともない文面だった。
プリントにはこう書かれている。
「ルールシート
アルカナバトルご参加おめでとうございます!!
あなたにはアルカナの力が宿りました。
これから、そのアルカナの力でほかのアルカナ能力者とバトルロワイヤルを繰り広げていただきます。
その上でのルールをご明記いたします。
*アルカナ能力者には正位置時間、逆位置時間がそれぞれ12時間ずつご用意されています。
逆位置時間はアルカナ能力が弱化してしまったり、消耗が激しくなったりしてしまいます。
自分が正位置時間、相手が逆位置時間の時間帯を見計らってバトルを挑みましょう!!
*アルカナバトル自体に期間はありませんが、一週間ごとに一度、寄生しているアルカナに生命力を奪われます。
基本的に回避はできませんが、敵能力者に勝利した時のみ今あるカウントをリセットすることができます。
*アルカナ能力者でない人間が意図的にダメージを肩代わりをした場合、ペナルティとして強制的に12時間能力を使用不可能にさせていただきます。
*勝利の条件は”アルカナ能力者の行動により”気絶、または殺害することです。
*アルカナ能力は一人一つです。
寄生するので紛失等のおそれはありません。
*アルカナ能力者同士で協力し合うことも構いませんが、メリットや副賞は一切ございません。
*アルカナバトル最中に逮捕されてしまってもこちらは一切の責任を負いませんが、リタイアとはなりません。
*バトルロワイヤルに優勝した方にはもれなく、「未来の世界に行く権利」を与えます。
賞金、勲章などは贈られませんのでお間違えのないように。
また、優勝者は一人限りです。
例外は相打ちしてしまった時のみとなります。
*リタイアされる場合は下の名前記入欄に本名でサインをしてください。
氏名:                私はこの戦いをリタイアします。

以上のルールをご理解頂いた上で、バトルロワイヤルにお臨みください。
健闘を祈ります。                  主催者より

あなたのアルカナ能力は、「隠者」です。有効にご活用ください。」

―――――一通り読み終えたが、理解するまでに若干の時間を費やした。
アルカナバトルとはなんなのだ?一体何のつもりなんだ?
そもそもこれは私に宛てられたものなのだろうか?
しかしこのプリントはあの怪奇現象の直後に現れたものだ。
風が強かったわけでもないので、つじつま合わせ的に自分のものなのだろう。

まさか、とは思った。
何も考える必要はない。
能力があるというのなら、出してみればいいじゃあないか。
どうせ嘘っぱちなんだろう?
ここには自分しかいないし、確認なんだから恥ずかしがったりする必要もない。
ベタな感じで行くと手をかざして放つのだろう。
千代は部屋の空いている空間に向かって手をかざした。
すると不意に
???「我はここにいる。」
と、男性のような野太い声が聞こえた。
父親の声ではない。
妹は今家にいないので、妹の男友達でもなさそうだ。
後ろを振り向く。
???「我が貴女の能力。「隠者(ハーミット)」だ。」
そこには鎧とマフラーを身につけている黒い人影があった。
そしてその人影は自分のマントから出ていた。

彼女の頭は更なる混乱を起こしていた。
恐怖で目が潤み、体は少し震えている。
???「聞こえているのか!!おい、藤原千代!お前に言っているのだ!!」
千代「ひっ。」
思わず崩れ落ちそうになるが、なんとか耐える。
襲ってくる気配がないと気づき、少しずつ呼吸を整える。
親が駆けつけてこないあたり、千代にしか見えていないし聞こえていないのだろう。
千代「あなたが・・・私の・・・能力・・・・・・。」
???「そうだ。これからは我を最大限に使って戦ってもらう。」
千代「戦・・・う。」
興味本位でとんでもないことに首を突っ込んでしまったと今更気づく。
人影はやれやれと言わんばかりの表情だ。
???「これからは自覚を持って行動することだ。いいな。」
それ以上は何も言わず、人影はすぅと背中に入っていった。
目の当たりにしたことを、ちっとも現実のものとは思えなかった。
とりあえず今日は考えるのをやめて、スポーツジムにでもいって気を紛らわすことにした。