DAI-SONのアレやコレやソレ

創作ライトノベル、「ハーミット」「愚者の弾丸」「ハーミット2」を掲載。更新停止中です。

「ハーミット2」 ACT.LAST 明日を取り戻すために

北団地近くの墓地のまわりに張り込もうと、茜色に染まる町を避けながら、日陰を進む。 千代、野鳥花、かるた、レイのチームと、マリ、スバル、宇茶美、メイジのチームに別れている。 もうひとつ、人散らし用のチームがあるらしいが、会うことは無いとのこと…

「ハーミット2」 ACT.8 ヒロイン

犯人の足はきっとつかめている。 そう自分に言いきかせている。 犯罪組織"ブレイカー"そして、マカアラシ主犯の"オラクル"。 話のスケールに対しての、自分の無謀さを省みる。 だが、このマントが思い出と共に告げるのだ。 『番長なら進むだろう』、と。 千…

「ハーミット2」 ACT.7  ダークブルー・スプリング 少女の暗い暗い青春

陸上部の部室には重苦しい空気が漂っていた。 胸の奥に、焼け付くような痛みを感じている。 やるせなさで膿んだ傷口を憎しみで焼き潰している。 だが、こういうときこそ冷静にならないといけない。 そのため、今日は部活も捜索もしないことにした。 頭を冷や…

「ハーミット2」 ACT.6 真夜中に疾走す

マリはテレビを点ける。 ニュースは「マカアラシ」についての特集が組まれていて、朝ごはんが不味く感じる、どんよりとしたラインナップだった。 最近は行方不明も多く、関連があるのではないかという報道テロップが嫌でも目に入る。 マリ(世間は死人騒ぎで…

「ハーミット2」 ACT.5 回り道・閉じる瞼

セイラ「ハァーッ、ハァーッ…」 顔をつたい、大粒の汗が顎から落ちる。 マリ「ごめん、私のせいで…」 セイラ「ハァ、ハァ…いいんだよっ、別に。陸上部はヤバイことに首突っ込んでんだ。今更だよ。」 マリ「ありがとう。ところでここは?」 セイラは背の高い木…

「ハーミット2」 ACT.4 錠前マリは二番じゃ嫌

5月7日(木曜日)新しい情報や手がかりは已然として見つからず、合宿帰ってきた3年生たちと、部活で汗を流す毎日。 3年生の部員はたった3人だ。 気さくな早瀬川電子(はやせがわでんこ)、比較的常識人な川辺檀(かわべまゆみ)、クールだけどどこか天然な荒川凶子…

「ハーミット2」 ACT.3 ごめんねミミ

5月4日(月曜日) 千代「へぇ…この子がみるくちゃん。意外と小さいんだね。」 何かあったときに、名前と顔が一致しないと困るので、千代の方から会いたいと申し出ていた。 ゴールデンウィークが終われば必然的に会うのだが、安全の確認できていない超能力者か…

「ハーミット2」 ACT.2 見ているだけじゃ治まらない

5月3日(日曜日)桜倉「その怪我どうしたんだよ。」 昨日の帰宅後に、一年生組でゴールデンウィークの予定を立て、その通りに集まったのだが、手足に包帯を巻いている榎の姿は痛々しかった。 榎「えへへー、実はかくかくしかじか、すったもんだでホイホイ…」 …

「ハーミット2」 ACT.1 嘘をつく記憶

5月2日(土曜日)ほとんどの部活がゴールデンウィーク休みに入っているなか、陸上部は休みを返上して部室に集まっていた。千代「まだヒントが少なすぎるね…マスコミの続報を待ちながら、インターネットでの目撃情報を探っていくしかないか。なにせ相手の見た目…

「ハーミット2」 ACT.0 予兆

あらすじ未来の世界からの差し金によって起きた、壮絶な超能力者同士のぶつかり合い、"アルカナバトル"を終えた藤原千代(ふじわらちよ)は、その秋から陸上部のマネージャーになり、春には、愉快な後輩たちを迎えた。 マネージャーになりたての頃にはよそよそ…

「愚者の弾丸」 アフターストーリー 老人と少女の結末

歪曲して、世界の狭間に呑まれて行く番長を見送った四人。 サクリファイス「終わったんだな。」 跡形もなくなって、元からそこになにもなかったかのように風景は広がっている。 ミツクビ「偶然かしらないけど、カインドみたいなところにたどり着いちゃったニ…

「愚者の弾丸」 EX.LAST 愚者の弾丸

不適な笑みが、フードの暗がりのなかに覗く。 相変わらず男か女かわならない声だし、顔立ちまで中性的だ。 仮面の男「おら、連れてきたぜ。」 コッパ「ご苦労様。二人はもう好きにしていいよ。」 優しくて穏やかな甘い口調で、二人に退場を促す。 仮面の男「…

「愚者の弾丸」 EX.41 対峙する運命

マドロシア「な、なんだ。1つ的が増えただけか?」 動揺していたのが馬鹿みたいだ、という風に振る舞う。 番長「千代…。これはいったい…?」 千代「これはね、ミツクビちゃんを逃がしたりしてくれていた大臣が持っていたアーツなんだけど、効果は見たままだよ…

「愚者の弾丸」 EX.40 番長自身の選択

番長「全快はまだ遠いか…。」 目は覚めたものの、疲労と気だるさが枷となって体の自由を奪っている。 麗「しっかし、派手に散らかしてくれたよな。」 復興のために忙しなくなっている町を、遠巻きに眺めながら言う。 番長「他人事のように言うな。手伝わなく…

「愚者の弾丸」 EX.── とある海洋冒険家の手記

※これはおまけです。読まなくても特にストーリーに支障はありません。※19XX年 7月22日広い海、ただ一匹だけ、ひときわ巨大な鮫がいた。 鮫は、片目がつぶれていた。 近辺の港町の人々の話をきくと、その鮫は、金銀財宝や、可憐な乙女に目がなかったそうで、…

「愚者の弾丸」 EX.39 窮鼠猫を噛み、窮猫狼を噛む

麗「はぁ…。はぁ…。ようやく数が減ってきたな…。」 夕日が影を伸ばし始めた頃、エリオットは増殖力を弱めていた。 アリスの鮮やかな太刀筋のお陰もあり、なんとか難を逃れられる兆しが見え始めた。 だが、異変に気づいたのは、地平線に太陽が触れ始めた頃だ…

「愚者の弾丸」 EX.38 私(ミィ)の復讐劇

……………………。酷く重い微睡みをやっとのことで飲み込めそうなのに、呼吸をするためだけに全力を尽くしているんじゃ仕方がない。 何度踏ん張りを利かせても、夢のなかにズルズルと引き戻されるもどかしさ。 誰もいない。 自分がいるとはわかっていても、自分が居…

「愚者の弾丸」 EX.37 それは美しきマーメイド

番長は一向に目を覚まさないが、それはもう仕方のないことだと割り切ってしまわなければならないな、と感じていた。麗「なぁ、やっぱり移動しねぇか?」寒さに震えながら、そう切り出した。ブリンク「危険です。もうすでに囲まれている可能性だってあるのです…

「愚者の弾丸」 EX.36 越えて尚、あの世この世を歩むなら

ブリンクは太い蔦のドームを作り出す。 たが、空が曇っているせいか、それとも下が砂地なせいなのか、うまく成長できずにその場を覆うまでには至らず、花瓶のように小さい口を開けていた。 その中で、サクリファイスと番長は生命力を使い果たし、倒れていた…

「愚者の弾丸」 EX.35 アンカー&アーム

一閃。 翻る太刀筋は夢か幻かと空を薙いだ。 番長の胸元のボタンが真っ二つになり、小さな音を立てる。 アリス「気に入らないねぇ。 …いや、一撫でで御せぬもまた優雅か。」 それは蝶か鳥か、はたまた鮪や烏賊か。 余りの速さにその剣閃は風の筋を撫でる様だ…

「愚者の弾丸」 EX.34 ワンダーランド・イン・シー

全員が船に登り終えると、待ってましたと言わんばかりに、錨が上がる。 誰も甲板に出ていないはずなのに、ひとりでに船は動いている。 サクリファイス「船自体がアーツってことか?」 ブリンク「でしょうな。…ですが、すぐに危害を加えて来ないのが不気味です…

「愚者の弾丸」 EX.33 涙風よさらば

サクリファイス「うおぁぁぉぁぁぉあああ!!」 釣り下がる水柱を失った彼はものすごいスピードで落下して行く。 それを慌てて麗のアーツの風で受け止める。 サクリファイス「確実に死んだと思った…。」 麗「安心しろ、俺たちはもう死んでる。」サクリファイス…

「愚者の弾丸」 EX.32 知らぬが仏言わぬが花なら尋ねるあなたはけだものか

とうとう、落ちてくる水塊は気球ほどに達し、少し押し流されるまでに強くなっていた。この唐突な襲撃に、街の人間は混乱して右往左往している。番長「・・・このままじゃ、いたずらに体力を消耗するだけだ!!」麗「空路はどうだ?」ブリンク「全員を持ち上げるこ…

「愚者の弾丸」 EX.31 その青は

この街には様々な娯楽施設がある。 その中でも、一行が目当てにしていたのは、カジノもどきの集会場だ。 大層な設備がないため、主にポーカーやチンチロリンなどの簡単な道具を使って行えるゲームが主だ。 この世界では金品の価値が微妙なため、賭けるのは話…

「愚者の弾丸」 EX.30 潮風に揺蕩うコッパーブルー

番長は眉間にシワを寄せて理解し難い状況を理屈付けようとしていた。夢の中に閉じ込められたという彼の言い分もおかしいが、まず目の前にいる麗が自分の妄想なのか、はたまた本人なのか。その答えは、閉じ込めた主から明かされることになった。ジェイ「あ、…

「愚者の弾丸」 EX.29 潮騒は永久の眠りにつく子守唄を歌う

一晩中歩き通したが、幸か不幸か、サキューの張っていた罠にあらゆる人間が引っかかってしまっていたため、こんなに見晴らしの良い平原だというのに、行き違うものの一人もいなかった。逆に言うと、森にはたくさんの迷子がいた。だが、大抵はこっちを見るな…

「愚者の弾丸」 EX.28 誰も彼もが同じ空を目指して

刃を伝い落ちる赤の雫。硬直する。サクリファイスは喉の奥に空気をつまらせて、声も出せない。サキューは後ろに飛んで姿を消した。サクリファイス(・・・そうだ、クリフォートから持ってきたクリスタルがあるじゃないか。)うろたえてなどいられない、と刃を抜い…

「愚者の弾丸」 EX.27 這い這い追うぞ欲望は

生還の噂がパラレルワールドと結びついている。おかしな話だ。だって、この世界にいるのなら、どの平行世界にいようが死んでいることには変わりないからだ。生還と平行世界を理屈で結ぶのは難儀な話である。だが、平行世界から人が来るということは、クリフ…

「愚者の弾丸」 EX.26 どうしようもないこと

ここに意味などなかった。強いて言うならば、むしろ意味を失う場所だった。この残酷にも楽園のような世界で、ただ悠久の時間を貪る日々。ゆく果ては、消えてゆくか消されるか。ただそれだけの話だった。この街は、この世界にありふれた、そんな話のひとつの…

「愚者の弾丸」 EX.25 きっと誰かの最期の地

バリバリと空気を揺らし、ショッキングピンクと赤で彩られたド派手なバイクが土煙を上げて迫ってくる。サクリファイス「俺たち、あんなバカみたいなのに気付かなかったのか?」爆音はさらに勢いを増す。番長「バーカ。気づいてなかった訳無いだろう。むしろあ…